新宿の男。
新宿駅の改札をくぐると、
多くの人で賑わっていた。
いったい自分は何階にいるのだろうか。
人工的な建造物が立ち並んだこの街は
まるで異世界に来たかのような気分にさせた。
人をかき分け、とりあえず人通りの少ない道へ避難する。
カフェを探して歩いている途中に、
なにやら怪しい男が、
「お願いします。助けてください。」
という看板を持って立っていた。
助けを求める男性。
その横を見向きもせず通り過ぎていく人々。
なんだか都会の闇を見たような気分だった。
新しいタイプの詐欺だろうか?
何に困っているんだろうか?
いろんな疑問を抱えつつ、
話しかけようと思ったが、
近所のバーテンダーの言葉を思い出した。
「新宿とか上野は、人の優しさに漬け込んでお金を騙し取る人とかいるんで気をつけてくださいね。」
最近、ア○ウェイに勧誘されそうになった話をした時に、東京のよくある寸借詐欺のことを聞いていた。
きっとこれも何かの罠だろう。。
バーテンダーの言葉に思い留まり、
周りの人と同じように、見向きもせずに通り過ぎてた。
あの男性はどうなったのだろうか。
こうしてまた一人、詐欺に引っかかることなく
平穏な休日を送ることができたのである。
バーテンダーさんありがとう。